慢性的なだるさ・低血圧の背景にある、体内の酸塩基平衡とミネラルの局在異常
前回は、人間の身体をベストな状態(pH7.4の弱アルカリ性)に保つ「ホメオスタシス(恒常性)」と、体が酸性に傾く「アシドーシス」についてお話ししました。今回はその真逆、体内を塩基性(アルカリ性)側に傾かせようとする力が働いている状態「アルカローシス」について解説します。
「体がアルカリ性に傾くなら健康によいのでは?」と思われるかもしれませんが、実は全くの誤解です。アルカリ性に過剰に傾くこともまた、細胞にとっては過酷な環境であり、手足のしびれや筋肉の異常な硬直を引き起こす原因になります。
アルカローシスでなぜ「しびれ」や「テタニー(筋肉のけいれん)」が起こるのか
アルカローシスの状態に陥ると、血液中に存在する重要なミネラルであるカルシウムイオン(Ca²⁺)が、血漿タンパク質と過剰に結合してしまいます。
その結果、血液中で自由に働けるフリーのカルシウムイオン濃度が急激に低下し、体液内は「低カルシウム血症」と同じ状態になります。これにより神経や筋肉の興奮性が異常に高まり、以下のような独特な不調が引き起こされます。
- 手足や唇のまわりの不快なしびれ感・ピリピリ感
- テタニー症状(筋肉が強くつっぱる、指先が硬直して動かなくなる)
- あごの異常な噛みしめ、全身のこわばり
アルカローシスを引き起こす2つのルートと悪循環
アルカローシスも、その原因によって「呼吸性」と「代謝性」の2つに分類されます。![代謝性アルカローシス[私の治療] – 日本医事新報社](https://d2s9fohtokqsy4.cloudfront.net/files/product/jrnl/5077/5077_042_01.jpg)
① 呼吸性アルカローシス(激しい呼吸によるCO₂の過剰排出)
ストレスや不安、過度な緊張などが原因で肺胞過換気(息を激しく吸い・吐きする状態)が起こると、体内の二酸化炭素(酸性物質)が過剰に追い出され、バランスがアルカリ性に傾きます。これが過換気(過呼吸)症候群の病態です。
厄介なのは、アルカローシス状態になると身体はむしろ「呼吸困難」を自覚するため、不安になってさらに呼吸が激しくなるという強い悪循環に陥りやすい点です。
② 代謝性アルカローシス(水素イオンの喪失と維持システム)
呼吸以外が原因で、体内の水素イオン(H⁺/酸性の元)を喪失したり、重炭酸イオン(HCO₃⁻/アルカリ成分)が過剰になったりすることで起こります。
本来、重炭酸イオンは腎臓(糸球体・尿細管)で適切に濾過・排泄されるため、一時的に多く摂取しても簡単にはアルカローシスになりません。しかし、以下のような原因と「尿からの排泄をブロックしてしまう維持機構(有効循環血漿量の低下など)」が重なると、慢性的にアルカリ性が持続してしまいます。
- 嘔吐や胃液の吸引:強酸性である胃液(HCl)が失われることで、体内の水素イオンが直接喪失します。
- 低カリウム血症:カリウムが欠乏すると、カチオン(陽イオン)バランスを保つために血中の水素イオンが細胞内へと移動し、結果として血液中の酸が失われます。
- 利尿薬(フロセミドなど)の乱用:尿細管でのイオンバランスを崩し、低カリウム血症を伴うアルカローシスを発生・維持させます。
分子栄養学的な視点:血圧低下との深い関係
代謝性アルカローシスには、もう一つ見逃せない大きな特徴があります。それは、生体に対して明確な血圧降下(血圧を下げる)作用を惹起するという点です。
医療現場で高血圧の治療に使われる「チアジド系降圧剤」が血圧を下げるメカニズムの一因としても、この代謝性アルカローシスを誘導する作用が指摘されています。
「血圧がいつも異常に低い」「立ちくらみがひどい」といったお悩みの背景には、慢性的な胃腸の不調(嘔吐傾向)やミネラルバランスの乱れから、体がアルカローシス傾向に傾いている可能性も隠されているのです。
「構造」のケアと「分子栄養学」の融合で、真のホメオスタシスへ
「緊張すると手足がしびれたり、呼吸が苦しくなる」
「足やあごが異常につっぱり、血圧も低くていつも体がだるい」
これらの症状は、単なる精神的なストレスや局所的な筋肉の疲労だけではなく、体液のpHバランス、そして細胞レベルでのカルシウムやカリウムの局在異常が複雑に絡み合って起こっているサインかもしれません。
広陵コンディショニングでは、カイロプラクティックによる自律神経系の調整(過換気を防ぐ呼吸の安定化)や骨格のケアといった「構造アプローチ」をベースに、分子栄養学に基づいた胃腸機能のケアや、カリウム・カルシウムなどのミネラルバランスを崩さない食事指導といった「栄養アプローチ」を組み合わせています。
内側(体液環境)と外側(骨格・筋肉)の両面からアプローチし、あなたの身体が本来持っている素晴らしいホメオスタシスを正常に働かせていきましょう。気になる不調がある方は、ぜひお気軽に公式LINEやお電話からご相談ください!