先日、5歳のお子さまが来院されました。
初めてその姿を見たとき、頭を45度ほど斜めに傾けたまま、前後左右にほとんど動かせない状態でした。ひと目で「これは重症だ」とわかるほどの激痛を伴う様子でした。
一般的な「寝違い」であれば、小腸などの内臓の負担を整えたり、手などの上肢の異常をなおしたりすることで、比較的スムーズによくなるケースがほとんどです。
しかし、このお子さまの場合は、そうしたアプローチを試みてもほとんど変化が見られませんでした。
お父さまやお母さまへの問診でも、最初はこれといって特徴的なアクシデント(怪我や事故など)の記憶が出てこず、あれこれと方法を変えてみるものの、症状は平行線のままでした。
■ 「痛みの示し方」に隠されたヒント
そこで、お子さまの頭を持って、ゆっくりと前に曲げていく検査を行いました。
するとその時、お子さまは首ではなく、自分の「頭(後頭部)」に手のひらを当てて「痛い〜!!」と叫んだのです。
その手の当て方、痛みの訴え方は、まさに医学書にある「後頭神経痛」の患者さんが示す特徴的な仕草とまったく同じでした。

「これ、もしかして、ここをどこかにぶつけているんじゃないかな……?」
私がそう呟いたとき、お母さまがハッと思い出されました。
「そういえば、最近寝ているときに、ベッドからドンと数回落っこちています!」と。
点と点がつながった瞬間でした。
■ 「大後頭神経の絞扼(しめつけ)」を発見
お子さまの後頭部を慎重に触診していきました。
すると、本来であれば「ここに神経があるな」と簡単には触れないはずの大後頭神経が、まるで“ノリのついた糸”のようにハッキリと触れ、さらに「芽(Bud)」のようにぷっくりと膨らんでいる部分もありました。
つまり、ベッドからの数回の転落(打撲)によって大後頭神経のしめつけ(絞扼)が起こり、そのデリケートな神経を守るために、首の筋肉が代償的にギプスのようにカチカチに固まってガードしていたのです。これが、一見「ひどい寝違い」のように見えていたものの正体でした。
原因が判明したため、当院の専門手技である「バラルの末梢神経手技」を用いて、この神経のしめつけを優しく解放する施術を行いました。
2日連続で施術を行ったところ、痛みと首の可動域はかなり良い状態へと劇的に改善していきました。
■ 漠然とした対処では変わらない不調だからこそ
今回のように、子どもの「寝違い」や「急な首の痛み」の裏には、大人が気づかないような日常の小さな衝撃(ベッドからの転落や寝相による打撲など)が隠れていることがあります。
もし、一般的なマッサージや「日にち薬で様子を見ましょう」という対応だけで変化がない場合は、神経系や解剖学的な視点からの専門的なアプローチが必要です。
「子どもが首を痛がって動かせない」「どこに行っても原因がわからない」とお悩みの親御さまは、ぜひ一度、当院にご相談ください。お子さまの身体からのSOSをしっかりと紐解き、根本からの回復をサポートいたします。
首のひどい傾きが、ほぼほぼ元に戻り、痛みもなくなりました。(2017年7月の症例)