皆さんは、鏡で口の中を見たときに、歯茎やあごの骨の一部がコブのようにポコッと膨らんでいるのに気づいたことはありませんか?
これは「骨隆起(こつりゅうき)」と呼ばれる良性の骨の膨らみです。病気ではないため放置しても問題ないと言われることが多いですが、実はこの骨隆起が原因で「舌の位置」が変わり、体や口の中にさまざまな不調を招くケースがあります。
今回は、骨隆起による舌の位置異常(低位舌など)が引き起こすトラブルとその対策について解説します。
骨隆起によって舌の位置が異常になるとどうなる?
骨隆起は、歯ぎしりや食いしばりなどの強い力が顎の骨に加わることで、骨が肥大化してできたものです。下あごの内側や上あごの天井によく見られます。
この骨のコブが大きくなると、口の中で舌が収まるスペースが狭くなってしまいます。その結果、舌が本来あるべき位置(上あごの天井に密着した状態)にいられなくなり、下へ押し下げられる「低位舌(ていいぜつ)」などの位置異常が起こります。
舌の位置異常が招く5つのトラブル
1. 話しにくさ(発音の障害)
舌が動くスペースに骨の出っ張りがあるため、舌がスムーズに動かせなくなります。特に「サ行」「タ行」「ラ行」などの音がこもったり、発音しにくくなったりします。
2. 食事のしづらさと口内炎
食べ物を口の中でまとめたり、喉の奥へ送り込んだりする動作には舌の自由な動きが必要です。舌がうまく動かないと飲み込みにくさを感じるようになります。また、食事中に骨隆起の上の薄い粘膜を誤って噛んでしまい、頻繁に口内炎ができる原因にもなります。
3. いびきや睡眠時無呼吸症候群
骨隆起に押された舌が、喉の奥(気道)の方へと下がってしまいます。特に就寝時は筋肉が緩むため、下がった舌が気道を塞ぎやすくなり、激しいいびきや睡眠時無呼吸症候群を引き起こすリスクが高まります。
4. 歯並びや噛み合わせへの悪影響
舌には内側から歯列を支える役割があります。舌が正しい位置にないと、上あごの発達が妨げられて歯並びが狭くなったり、逆に下がった舌が前歯を裏から押し出すことで、出っ歯や前歯が噛み合わない状態(開咬)を招くことがあります。
5. 口呼吸による口内環境の悪化
舌の位置が下がると、自然と口が開きやすくなり、口呼吸が癖になります。口の中が乾燥すると唾液の抗菌作用が働かなくなるため、虫歯や歯周病のリスクが急増し、口臭の原因にもつながります。
骨隆起と舌のトラブルを防ぐためのアプローチ
骨隆起による明確なトラブルが出ている場合は、以下のような対策や治療が行われます。
- …治療(ナイトガード): 骨隆起をこれ以上大きくさせないために、就寝時にマウスピースを装着して、原因となる歯ぎしりや食いしばりの負担を軽減します。
- 外科的切除(骨削合手術): 生活に大きな支障がある場合は、歯科口腔外科などで骨の膨らみを削って除去する手術を行います。スペースが確保され、舌の動きが劇的に改善します。
- 口腔筋機能療法(MFT): 舌の筋肉を鍛え、正しい位置(上あごのスポット)に収めるためのトレーニングを行い、低位舌の癖を根本から改善します。

※写真は、私の骨隆起の手術ビフォーアフターを石膏模型で比べたもの。2025年河合町の東谷歯科の東谷先生のご厚意により石膏模型をとってもらいました。
私の場合、高校生の時に口の中に骨の出っ張りがあると気づきました。何十年も放置していましたが、数年前、当院クライアントの歯科の先生に相談したところ、「僕の所で除去できますよ」とのことでした。麻酔をして、ノミのようなものでトントン叩いて骨を削ってもらいました。痛みは全くなし。オペ後は舌の置くスペースが確保された感じで、とても快適です。手術は2023年香芝市白鳳台の倉坂歯科の倉坂先生に行っていただきました。