今回は、先日ご来院された産後のママさんの「尾骨(びこつ)の痛み」についての臨床レポートです。
座るときや、立ち上がるときに「ズキッ」と激痛が走り、本当に日常生活がつらそうだったのですが、数回で素晴らしい結果が出ました。
- 初回施術後:痛みが3割減少
- 1週間後の施術(2回目):痛みが95%減少
残りの5%も、あと3日以内にはきれいに消え去ると予測しました。劇的な変化に、お母様もパッと明るい満面の笑顔を見せてくださいました。✨
施術中のとっても微笑ましいひとコマ。
一緒についてきてくれた小さな娘さまが、私の真似をして、お母さんの身体をけなげに一生懸命トントンと触って応援してくれていました。
その姿があまりにもかわいく、記念に写真を撮らせていただきました。📸(こうしたご家族の温かい応援も、最高の治癒エネルギーになりますね)

問診だけで施術のイメージが湧く「歴史と背景」
なぜ、これほど早く劇的に痛みを消すことができたのか?
それは、お話を詳しく伺った(問診)時点で、お身体の中で何が起きているか(メカニカルな原因)のロードマップが、私の頭の中でほぼ出来上がっていたからです。
患者様の背景には、このような重要なヒントが隠されていました。
- 学生時代:バドミントンをかなりハードにやり込んでいた
- 過去の履歴:お腹の手術の経験(腹部オペ歴)あり
- お身体の傾向:強い「冷え」がある
- 発症のタイミング:年末年始の暴飲暴食の最中に、立ち上がろうとして激痛
これらを聞けば、アプローチすべき場所が自ずと見えてきます。
「門脈(もんみゃく)循環やお腹の血流」「腹膜の引きつり」「(過去のスポーツ歴による)健側の大臀筋や梨状筋の過緊張」「患側のハムストリングスまわり」「骨盤底筋周辺」……。
あとは実際の検査でその仮説を触って確かめ、狙い通りにリリースしていくだけでした。
尾骨痛の「解決ルート」は人によって全く違う
「尾骨が痛い」からといって、お尻の骨だけをどうにかしようとしても治りません。
ここ数年、当院で尾骨痛がスピード解決したケースを振り返ってみても、原因は人それぞれです。
① お尻の筋肉と、骨盤内の「血流トラブル」(産後の女性)
今回のママさんのように、産後の女性に多く見られるパターンです。大臀筋(お尻の大きな筋肉)のバランスの崩れや、お腹・骨盤内の血液循環(うっ血や冷え)を整えることで、多くの方が2回目の施術で症状がきれいに消失しています。
「経過観察は必要かな?」とこちらが考える隙もないほどの満面の笑顔で、いったん卒業していただいております。もちろん、定期的なメンテナンスに移行される方もたくさんおられます😊
② 「小腸の問題」からくる尾骨痛(40代女性)
小腸の機能低下が尾骨周辺の痛みを引き起こすケースも時々見かけます。
40代の女性の例です。同じように座ると尾骨が痛いということでした。この方の原因は筋肉ではなく、食事による「小腸への負担」でした。
たとえば、パンや麺類などの小麦食品を過剰に食べすぎることで、小腸の粘膜の透過性がアップします(つまり、粘膜が荒れて微細な炎症を起こすという事です)。この小腸の問題が、肝臓に飛び火します。小腸から門脈という血管を介して肝臓への負荷が高まります。肝臓の中の血流が悪くなる(門脈の圧力の上昇)と、門脈に行けなくなった血液が肛門まわりの血管へ迂回しようとします。その結果、肛門の血管がうっ血して膨らみ、肛門周辺にトラブルを引き起こします。典型的には、痔ですが、体の状況によっては尾骨周辺の痛みを生じることもあると考えます。
こちらの方は食事のアドバイスと内臓ケアで、4回目で解決しました。
ちなみに、小腸の機能というのは、病院の検査ではあまりされないところ。胃カメラや大腸内視鏡はありますが、小腸の検査は容易ではありません。つまり、これまでブラックボックスのような存在でした。ですが、小腸は栄養の吸収などを行う重要な臓器です。また、その人にとっての不適切な食事内容によって、機能低下が生じやすい場所でもあります。
腹部膨満感、ガスがよく出る、お腹がゴロゴロなる、原因不明のめまい・動悸、胸やけ、繰り返す便秘や下痢・・など様々な不調の背景に小腸の機能異常が存在します。
【私の学び】過去に直せなかったケースから得た教訓
成功例の数々を書いていますが、過去にはどうしても改善できなかったケースもあります。
「尾骨から会陰(えいん)周辺の痛み、というよりは、なんとも言えない異常感覚・不快感」を訴えられていた方(遠方より来られた30代女性)のケース。
当時は考えられるアプローチをすべて行いましたが、一向に変化が出せませんでした。
今になって振り返ると、このケースは、次のようなことをすべて鑑別に挙げて一つ一つ除外していく必要があったと考えています。
・陰部神経痛…骨盤の奥を通る「陰部神経」が、周囲の筋肉や靭帯に圧迫されて起こります。自転車のサドルに長時間乗る習慣がある人、長時間のデスクワーク、出産時の負荷などがきっかけになります。座ると痛みが強まり、立つと楽になる特徴があります
・椎間板ヘルニア…腰椎の神経の束(馬尾神経)がヘルニアによって中央から激しく圧迫されると、足の痛みだけでなく、排泄や骨盤周りを司る神経が麻痺してしまいます
・子宮内膜症や骨盤内炎症性疾患…子宮内膜の組織が骨盤内に癒着したり、感染によって炎症が起きたりすると、周囲の神経を刺激して会陰部や骨盤奥の痛み・しびれにつながります
・脊柱管狭窄症…狭窄症といえば足のしびれのイメージが強いですが、神経の圧迫場所によっては、尾骨や会陰周辺にそうした異常感覚が出ることがあります
・骨盤内腫瘍…骨盤内にできた腫瘍が、周囲の神経を直接圧迫することで異常感覚が生じることがあります
当時は鑑別検査が網羅されていなかったため、施術の方向性が間違っていたということ。非常に悔しい経験でしたが、その「失敗からの学び」があるからこそ、今の正確な見極めと、最短での改善に繋がっています。
目の前の「現象」ではなく、その背景にあるあなたの「身体の歴史」と「現象に至るメカニズム」を考察します
車がうまく走らないとき、ガス欠なのか、バッテリー上がりなのか、オイルの汚れか、それともタイヤのパンクか……原因によって対処は全く異なりますよね。人間の身体なら、なおさら多くの要因が複雑に絡み合っています。
尾骨の痛みひとつとっても、過去のスポーツの歴史、手術の歴史、そして年末年始の食事の不摂生まで、すべてが今の痛みに繋がっています。
「座るたびに尾骨が響いてつらい」
「どこに行っても原因がわからない」
そんな方は、ぜひ当院にご相談ください。あなたの身体の歴史を一緒に紐解き、痛みのない笑顔の毎戻るお手伝いをいたします。