カイロプラクティックにおける頸椎(首)の矯正は、適切に行えば驚くほどの変化をもたらす素晴らしい技術です。
とくに頸椎1番の矯正は、「カイロプラクティックの奇跡」と言われるような劇的な改善を起こすことがあります。
しかしその反面、もしも使い方や見極めを間違えてしまえば、そのベクトルはまるっきり「負のもの(重大なリスク)」になってしまうおそれがあります。
首には、脳へ血液を送る非常にデリケートな血管(椎骨動脈や頸動脈)や、命に関わる神経が密集しているからです。
当院では、特に40代・50代以上のクライアントに対して、首の施術を行う前に「徹底した安全基準テスト」を設けています。今回は、私たちがプロの現場でどのように安全を担保しているのか、その裏側をお話しします。
■ 50歳以上で必須となる「ジョージズテスト」とは?
当院では、重大な医療事故や血管障害を防ぐため、以下の項目を網羅したスクリーニング(安全確認)を必ず行っています。
1. 徹底した問診(危険因子のあぶり出し)
- 動脈硬化・高血圧: 血管壁がもろくなっている可能性を考慮します(特に拡張期血圧が110mmHg以上の場合など)。また、おへその左側(腹大動脈)の拍動幅が広く、動脈瘤の危険性が疑われる場合は、すぐに専門医を紹介します。
- 糖尿病: 血管がもろくなっているリスクを評価します。
- 間歇性(かんけつせい)虚血症: 「数秒間、記憶が飛ぶ」といった症状がないかを確認します。
- 経口避妊薬(ピル)やホルモン療法の使用・喫煙歴: 血栓(血の塊)ができやすい状態にないかをチェックします。
- 頸椎すべり症: 骨の異常な可動性(ハイパー)がないかを見極めます。
2. 鎖骨下動脈・頸動脈のチェック
左右の血圧差(10mmHg以上の差がある場合は上行大動脈の詰まりなどを疑う)や、喉仏の2指横などで還流音の異常(手の甲の骨間をひっかいたような音)がないかどうか確認します。
3. 左鎖骨動脈テスト(椎骨脳底動脈循環不全テスト)
仰向けで頭をベッドから出し、首を回旋・伸展させたときに「眼振(目が揺れる)」「めまい」「焦点のぼやけ」「意識喪失」「吐き気」「高音の耳鳴り」などが起きないかをテストします。
もしこれらが1つでも陽性であれば、首への強い操作は絶対に禁忌(触ってはいけない領域)であり、脳神経外科等でのドップラー検査やMRI検査を推奨します。
■ 首を動かして「セキ」が出る人は要注意
もう一つ、当院で必ず行うのが「頸椎1番の緩みテスト(OCBR)」です。
後頭骨と頸椎1番(環椎)を緩やかに拡げる操作を数秒行った際、「しびれ」「セキ」「ふわっとした感覚」が出る場合、首の操作は一切行ってはなりません。
特に、過去に交通事故(むち打ち)、スノーボードやラグビーでの怪我の経験がある方、リウマチ後期の方、ステロイド剤を長期使用されている方は、首を支える「環椎横靭帯(かんついおうじんたい)」が緩んでいるリスクが非常に高いためです。
「首の操作をしてセキが出る」ケースは、靭帯の緩みを必ず想定しなければなりません。
■ 解剖学に基づいた安心・安全な施術を
解剖学的に見ると、椎骨動脈はすべての頸椎を同じように通っているわけではありません。例えば、頸椎6番(C6)のエリアは「椎骨動脈症候群(めまいや吐き気)」を起こしやすい場所でもあります。」だからこそ、「回旋と伸展」を伴うような強い頸椎の矯正は、靭帯の石灰化やアテローム(血管のコブ)を飛ばす脳梗塞のリスクを高めるため、行ってはなりません。伸展をともなう頸椎矯正法が厚労省の通達で禁止されているのにもかかわらず、いまだ行われているのはボキボキと音を鳴らすのが容易だからです。
【参考】
1991年(平成3年)6月の厚生省健康政策局長通知「医業類似行為に対する取扱いについて」において、「頚椎に対する急激な回転伸展操作を加えるスラスト法は、患者の身体に損傷を加える危険が大きいため、こうした危険の高い行為は禁止する必要があること」と明記されています。
「カイロプラクティックはバキバキされて怖そう」
そう思われるのも無理はありません。実際に、こうした厳格な生理学的検査や解剖学的知識を持たずに施術を行うことは非常に危険です。
しかし、当院のように「触っていい状態かどうか」を科学的に見極め、必要に応じてアクティベータ(振動器具)等など矯正方法を使い分けする方針を持っていれば、首の施術はあなたの不調の強力な味方になります。
どこに行っても良くならない頑固な頭痛や自律神経の乱れにお悩みの方も、まずは徹底した「安全検査」から始める当院に、安心してお任せください。あなたの身体の安全を最優先に守りながら、根本改善へと導きます。