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「お父さん、ごめんね」その一言から始まった、息子のいじめ問題解決の軌跡①

書籍の紹介と、家族問題、いじめ問題…に対する解決のヒントとして。
「鏡の法則(総合法令)野口嘉則著」(2006年初版発行)より。

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41歳になる主婦栄子には、悩みがあった。 それは、息子の優太がいじめにあっていることだった。 しかも、息子は相談に乗ろうとしない。
ひとり、どうしたものかと悩み続けていた。
そういった妻の悩んでいる姿を心配した夫は、矢口氏という心理学に詳しい人物を紹介した。
栄子は、一通り矢口氏に悩みを打ち明けると、 彼は意外なことを口にした。

「現実に起こる出来事は、一つの結果です。 結果には必ず原因があります。 その原因は、あなたの心の中にあります。 あなたに起きている結果は、大切な息子が人から責められて困っているということです。 考えられる原因は、あなたが、大切にすべき人を責めてしまっているからかもしれません。 まず、ご主人に対してですが、感謝していますか?尊敬していますか?」

栄子は尊敬という言葉を聞いたとき、ぎっくとした。
栄子にとって、主人は がさつで受け入れられないタイプだった。

それを聞いた、矢口氏はこういった。
「ご主人をそう思うには、もっと根本的な問題がありそうです。 それでは、あなたは、お父様に対して感謝していますか? あるいは、許せないという気持ちをどこかに持っていませんか?」

栄子は、「ゆるせない」という言葉にみょうにひっかかった。
そして、矢口氏に言われるまま、自宅で深夜、父に対する許せないという気持ちを思う存分紙に書きなぐってみた。

・子どものころは、夕食が説教の時間になることも珍しくなかった。
・しかも、汚れた作業着を着て酒を飲みながら、仕事の愚痴を言うのもイヤだった。
・高校のころ、女友達と遊ぶといって、男の子とデートしているのを目撃されてこっぴどく叱られたこともあった。 「嘘を言ってまで男と遊ぶんなんて、おまえはろくな女にならん」と言われとても傷ついた。

書きながら、思い出しながら、悔し涙も出てきた。
10数枚書いたところで、なぜか気持ちが軽くなってきた。

栄子は、矢口氏に電話して次のステップに進む指示を仰いだ。
矢口氏は次のように言った。 「お父様をゆるす覚悟はできましたか」
栄子「そこまでの覚悟はまだ出来ていないかもしれません。 でも、ゆるせるものなら、ゆるして楽になりたいと思います。」
矢口氏「お父様をゆるすのは、ほかでもない、あなた自身の自由のためにゆるすんです。 まず、紙に父に感謝できることというタイトルを書いてください。 どんな感謝できることがありますか。 次は、お父様に謝りたいことというタイトルを書いて、紙に書き留めてください。 そして、その次は人生で最も勇気のいることかもしれません。 最も抵抗したくなるかもしれません。 実行するかどうかは、ご自分で判断してくださいね。 今からお父様に電話をかけて、感謝の言葉と謝る言葉を伝えるのです。 実感が湧いててこなければ、文章を棒読みするだけでOKです。伝えたらすぐに電話を切ってもかまいません」

最初は、悪いのは父親のほうで、自分が謝るのは筋違いだと思っていた栄子でしたが、息子のことで悩みぬいたこともあってか、普通なら出来そうもない行動を取ることになった。
栄子「えー、今まで言わなかったんだけど、 一応言っといたほうがいいかなーと思って電話したんだけど・・・ えーと、お父さん現場の仕事けっこう大変だったと思うのよ。 頑張ってくれたおかげで、私も育ててくれたわけだし。 子供のころ公園も連れて行ってくれたし。 今まで、感謝の気持ちなんて言ったことなかったし、心の中でけっこうお父さんに反発してたし、それも謝りたいなって、思ったの」
栄子はとりあえず言うことを伝えた。
そして、父が何かひとこと言ったら、早く電話を切ろう。そう思った。

しかし、父から言葉が返ってこない。

その時、受話器から聞こえてきたのは、母の声。
「あなた、お父さんに何言ったの!」
「えっ?」
「何かひどいこと言ったんでしょ!お父さん泣き崩れているじゃないの!」

受話器から、父が嗚咽する声が聞こえてきて、栄子はショックで呆然とした。
自分が形ばかりの感謝を伝えただけで、あの強い存在の父が泣いている。
父は私のことをもっともっと愛したかったんだ。
だけど、父の愛を拒否し続けてきた。 父は寂しかったんだ。
20年以上もの間、父が許せなかった。 自分は被害者だと思っていた。
でも、父の愛、父の弱さ、父の不器用さ・・・ これらに気づいたとき、栄子の頬には涙がつたった。

そこで、矢口氏に電話したところ次のように言われた。 「
あなたにとって、優太君が心を開いてくれないことが一番つらいことでしたね。 親として何もしてやれないことが、情けなくつらいと。
栄子「はい、そうです。いじめられていると相談もしてくれない。 ほっといてと拒否されてしまう。無力感を感じてしまいます。 子供の寂しさが分かるだけにつらいです」
矢口氏「そのつらさは、だれが味わっていたつらさか分かるでしょうか」
栄子「えっ!誰がって・・・」
その時、栄子の脳裏には父の顔が浮かびました。
矢口氏はこう言いました。 「あなたは、子どもの頃どんなお父さんでいてほかったのでしょうね」
栄子「私を信頼してほしかった・・・そうか!優太も今同じ気持ちなんだ。 私の押しつけがましい愛情が負担なんだ」

矢口氏は次にご主人に対して言及しました。
「女性の場合、父親に対して取ってきたスタンスがそのまま、ご主人に投影されやすいんです。 ところで、ご主人は優太君のことを信頼しているようですね」
栄子「あ!そういうことか。主人のそういうところを見習えばよいのですね。 主人には信頼されていると思うから、優太はけっこう本音を言っているようです」
矢口氏「父に感謝できることと謝りたいことを書いてもらいましたが、さらにできるだけ書き出してください。 そして、次には父に対してどのような考えで接したらよかったのか?というタイトルでまた、書きだしてください。 それは、これからのご主人との接し方のヒントになるでしょう。 もうひとつ、そういった気付きをあなたに与えてくれた優太君が夜眠ったとき、寝顔を見ながら心の中でありがとうと100回ささやいてください」

栄子の書いた接し方
・言動の奥にある愛情に気づくこと。  自分が不完全な人間であるように、父も不完全で不器用な人間であることを理解する事
・「してもらっていること」への感謝 ・愛してもらうだけでなく、自分から愛する事(父を喜ばせようとすること)
・嫌なことは嫌と伝えて、そのうえで居心地のいい関係を築くこと

父に対する接し方だが、栄子はまさに主人にこれから接する方法だと思った。
その後、がさつだと思っていた主人に対する栄子の感情が、尊敬の気持ちに変わった。
これは同時に優太に「お父さんを尊敬してもいいよ」という許可を与えることにつながった。
そのことに優太は何より喜びを感じた。
そして、次々と栄子の周りの環境は変化し、優太のいじめ問題も解決していったのでした。

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